実写映画『鋼の錬金術師』を見てきました

実写版『鋼の錬金術師』を見てきました。

日本で漫画は実写映画やドラマになるとたいていうまくいかないというか、とりあえず原作ファンが警戒してあまり歓迎される雰囲気にならないのはお約束だと思います。その中でもたまにうまくいく作品もありますが…。
そして今回、満を持して荒川弘先生原作の超人気漫画「鋼の錬金術師」が実写映画化されました。試写会の段階でかなり話題になりましたが、こういうのは自分で見に行ってなんぼなので、見に行きました。



というわけで感想なんですが…とりあえずせっかちな方のために結論だけ言うと

顔真っ赤にして叩くほど悪くはないけど、めっちゃ面白いかっていわれると困る

って感じです。
いいとこ悪いとこまとめていきます。

良いところ
この監督は多分原作好きなんだなーってのは結構伝わってきました。漫画版ハガレンはコミックス全27巻の大作です。その要素をすべて詰め込むことなどもちろん出来ないので、エルリック兄弟の体を取り戻す道中と、作中の重要アイテム「賢者の石」にまつわる話にポイントを絞ってストーリーが展開されます。本当に最後の方の展開である、軍上層部がホムンクルスと賢者の石をどんなふうに利用しようとしていたのかまでエッセンスのみではありますがかなりしっかり描写されます。限られた時間の中で、鋼の錬金術師の持つダークな雰囲気と、その中でも若いパワーが大人の助けを借りながら懸命に旅を続ける明るい雰囲気の両方をしっかりと描いていました。昨今の漫画実写化失敗のよくあるパターンである、とりあえずなんかよくわかんないけど色々詰め込みました感で終わらないように、ものすごく頑張っているなとは思いました。
特にエルリック兄弟とウィンリィの関係性の描写がかなり秀逸でした。原作ではオートメイル整備士のウィンリィは日常と平穏の象徴であり、エルリック兄弟たちが立ち向かっていた敵や悪意の前に直接晒されるのはかなり終盤なのですが、この実写映画ではかなり序盤からエドと一緒にホムンクルスたちの脅威に晒されます。最初はこれ大丈夫かよと思いましたが、後述するエドとアルの喧嘩のシーンをストーリーに組み込むには、ウィンリィもかなり最前線にいないとテンポが落ちるので、主人公パーティーのサポーター的に同行するのはまあ、ありかなという感想になりました。
エルリック兄弟とウィンリィの関係性に関して一番良かったシーンは、やはりいま引き合いに出したエドとアルの喧嘩のシーンです。まあ色々あってアルが「兄さんは魂の定着なんかしていなくて、実は自分は偽りの記憶を定着させることによって作り出した偽の弟なのではないか」と悩むパートがあります。原作でも兄弟の絆を深める重要シーンです。原作ではこの疑問をエドに投げかけたアルをウィンリィがスパナでボコって仲直りさせるシーンなのですが、映画では怒ったアルがエドを突き飛ばしたところから喧嘩に発展します。ここでエドが義手と義足を全く使わず生身の手足だけで殴るんですよね。これは原作にないけれど、実際にエドとアルがここでこんな風に喧嘩すればきっとこうするだろうなというシーンになっていました。そしてもちろん喧嘩を止めるのはウィンリィの特大スパナ(どこから出したのかわからない)です。ただ原作をなぞってよくわからん雰囲気にするのではなく、原作をベースにしながら映画のために組み替えてるあたりは非常にうまくやっているなと思いました。
そんな感じで、実際そこまで悪くはないとは思います。原作愛を随所に感じるころはたくさんありました。
あと、本田翼ちゃんがめっちゃかわいくてオタクになっちゃいそうでした。泣きの演技がちょっとこっちも泣きそうでした。
それから、本田翼ちゃんが可愛い。とにかくかわいい。なんかよくわかんないけど刺さりました。演技下手って聞いてたけど、別にそんな感じはしなかったです。

悪いところ
上げればまあわりときりがないんですが、良いところの裏返しとしてやはり詰め込みすぎ感は否めませんでした。賢者の石に関するストーリーを怒涛のように詰め込んでくるので息をつく間もなく次から次へと様々な要素が平行して進んでいき、緩急が殆どありません。そういう作品だという事ならそれでも良いかもしれませんが、原作知らんとよくわからんことになるなとは思いました。まあ、原作読まずに見に来る人多分いないとは思いますけど…
それから、さっき監督が原作好きでハガレンの世界を表現しようとしてるっていいましたが、それができてるのは中盤までで、後半は完全になんかもう演技過剰演出過剰のよくある邦画に成り下がってました。賢者の石の真実を知って、敵の前で絶叫するエドとかお前もう何やねん。敵も見てないでなんかいわんかいって気持ちになりました。
でもこういうのは多分ある程度は仕方ないんでしょうね。映画は作るのにお金がかかりますし、そのお金を出すのは監督ではないですからね。金を出した人の意見や考えがはいってしまって作品が凡百に堕ちるのはよくあることだと思います。逆に、何億というお金を出して一切を口を出さず、監督のやりたいことにすべてを投資する。そんなことできる人がこの世にどれくらいいるのかという話でもありますし。お金儲けのためにやっているんだからその辺の事情は仕方ないですね多分。
途中までが良かっただけに、オチが微妙なので画竜点睛を欠くと言うかなんというか、いい作品にするためのもう一歩が足りなくなってしまっているな、というのが正直な感想でした。

他に気になったところを列挙すると
・開始5秒で何の説明もなく謎のおっさんと追いかけっこを始める置いてきぼり感
・そもそも何しにきたのかわからないウィンリィ
大泉洋役の大泉洋
・エンヴィーが風呂入ってなくて髪が脂でギトギトになってるみたいで、見てくれが単純に汚いし、変身できる以外の見せ場がなくて完全に小物
マスタング大佐の「かえんほうしゃ
ヒューズ中佐が殺されたときに電話に出てる相手を中佐殺しの犯人と断定するガバ軍部
・別の町で知ってる人がいるくらい隠れ場所ガバガバのドクターマルコー
・昨日書いたみたいにくっきり残ってる賢者の石の錬成陣
・タッカーが魂の定着に関してめっちゃやりての錬金術師みたいになってる
・賢者の石を使って真理の扉の前にいくだけ行って手ぶらで帰ってくるエド(っていうか、コレだと真理の扉のとこにいくために賢者の石を代価として使ってるよね?原作でもグラトニーの腹から帰るためにエンヴィーの石を使ったし、同じ感じだよね?いいのかそれは?)
・1800円の荒川弘先生描き下ろし漫画についてくる映画みたいな集客方法

そんな感じで、まとめると最初に書いた
悪くないところもあるけど別によくもない
って感想になりました

じゃあぼくは本田翼ちゃんの画像検索する仕事に戻りますね。




オタクになっちゃう~~~!!!!!


おしまい
本田翼の彼氏偏歴面白すぎて笑いが止まらん。

アニメ化前から映画の構想練ってたとか本当かよ。