この冬の推薦図書「アイドルマスターミリオンライブ!Blooming Clover」

面白い!!
おわり!!解散!!





というのもちょっと雑にすぎるので、紹介します。
アイドルマスターミリオンライブ!Blooming Clover」(以下ミリオンBC)は、現在ソーシャルゲーム(重要)やスマートフォンゲームにて絶賛配信中の「アイドルマスターミリオンライブ!」の公式コミカライズ作品です。本作ではその中でも特に「矢吹可奈」と「北沢志保」の二人にスポットを当てた作品となっています。

矢吹可奈北沢志保について


ミリオンライブを少しかじったことがある人ならば、この二人が並んだ時点でいろいろなものを思い出すのではないでしょうか。というくらいミリオンアイドルの組み合わせの中でも、鉄板コンビの1つとも言えるふたりがこの矢吹可奈北沢志保という組み合わせです。
矢吹可奈は歌うことが大好きでとにかく元気いっぱい。やや楽天的ではあるがまずは当たって砕けろの精神でトップアイドルへの道に一歩踏み出した。そんなキャラクターです。
対して北沢志保は一匹狼。常に冷静で大人びた雰囲気を纏い、内に秘めた目的に向かってひたすらストイックに、時には対立すらも恐れずに成功を追い求める。
同じ14歳でありながら、その境遇や内面が非常に対照的に描かれているこの二人。公式での絡みといえばやはり鮮烈なのは「劇場版アイドルマスター」でしょう。昨今のこの二人の関係も、あそこから始まったように感じます。
エネルギーには満ち溢れていて、アイドルへの強いあこがれもある矢吹可奈ですが、実力がまるで伴わず理想と現実の乖離に思い悩んでしまいます。そんな可奈の様子を見ていた志保は「努力、プロ意識が足りない」と冷静な判断を下し見放そうとしますが…
ざっくりいうとこういうストーリーがこの二人の中にあるのではないでしょうか。
今回の話題にしているミリオンBCでも、765プロの新人オーディションに合格した可奈が765ライブシアターに所属するところからスタートし、可奈の指導係に志保が任命されることで二人の物語が動き出します。元気いっぱいでうちに秘めた可能性は感じられる可奈だが、その実力はまるでダメダメ。果たしてこれからどうなるやら…という滑り出しの本作。1話はニコニコ書籍で読めます。これから話をするこの作品のいいところがだいたい詰まってるので、とりあえず読もう!


アイマスのスピンオフらしさが詰まっている

さて、さっきまではあくまでキャラクターの紹介で実際この作品何がいいのかというと
非常にアイマスっぽい
ところがとても良いんです。いやおまえ、アイマスのコミカライズなんだからそんなん当たり前じゃんって思うかもしれませんが、結構あるんですよ。ただ可愛キャラ描いて終わりのパターンが。ですが、このミリオンBCは「アイマスといえば」といいたくなるようなストーリーをしっかりと描いてくれています。アイマスに登場するキャラクターは、そのどれもが胸の内に何らかの目的やあこがれを抱いていて、でもそのために必要な実力がまだない。だから、プロデューサーや仲間と一緒に一歩ずつ成長していき…という流れの中でそのキャラだけ、そのPだけの物語があり、その色にこそ輝きがある。そんな作品だと思っています。ミリオンBCは若干これまでのミリオンライブとは設定面における食い違いもありますが、765プロの門を叩いた可奈が様々な苦難を乗り越えて少しずつ大きくなっていく様子が描かれています。その様子が結構シビアであり、普通に14歳の女の子が人生初のステージでこんな状態になったらポッキリ折れてしまうでしょ。ってくらい折るところはバッキバキに折ってきます。まぁ、立ち直りも早いんですけど…
とにかく、キャラの挫折と成長にしっかりと向き合っていて、落ち込むところはガツンと行きますが、それでもこの輝きに自分も…と、可奈が立ち上がるシーンの希望の満ち溢れっぷりは半端じゃありません。私は単行本をお酒飲みながら読んだら、感情の起伏に振り回されて普通に泣きそうになりました。もちろん感動でって話ですけど。
今のところ、プロデューサーにあまり感情移入できないのがアイマスP的にはなんとももにょるところですが、それ以外のストーリーは文句なしという感想です。アイマスのコミカライズでここまでガッツリ起伏ある話をやってくれたのでいくと、祐佑先生のざわわんを思い出しましたね…あれも名作なんで、知らない人には見てもらいたいなぁ。


稲山覚也先生の絵によってさらに深まる表現



今のはミリオンライブのカロリーといえばこの子、佐竹美奈子ちゃんのシーンです(大ウソ)

ミリオンBCの漫画を担当する稲山覚也先生は、正直お世辞にも綺麗な絵がウリの方ではないと思います。ですが、今のところは稲山先生でよかったなぁと思っています。というのも、稲山先生は「ここぞというシーンの臨場感や躍動感」それから「キャラクターの豊かな表情」や「絵から伝わってくる感情」という点においてはとんでもないパワーを持っていると思います。1話の試し読みもそうですが、ソーシャルゲームで全話試し読みができるのでちょっと眺めてみてください。
もちろん、あくまで私個人の感想であり、いや別にそんなことないやん!といわれてしまえば論理的に反論できるわけでもないので、違うといわれればそこまでなんですが、先程のストーリーの話と相まって、作品に深みが出ているというか「自分で深みを見つけられる」作品になっているなぁと感じました。
想定されている連載話数の関係なのかは知りませんが、今のところいいとこ5巻も続けば完結してしまえるようなテンポになっているように思います。そのため、展開もかなりトントン拍子で進むのですが、ちょっとまってページをめくるその手のスピード、半分くらいにしませんか?と言いたくなるくらいキャラの表情が豊かなんです。コマの中に書かれているセリフは本当にストーリーのために必要な言葉の中でも最小限のものであり、書かれていないだけで登場するキャラクターの中にある気持ちやセリフを想像することで、更に物語を「自分で深めることができる」作品になっていると読んでて思いました。
この「自分で深める」っていうのがやはり味があっていいと思うんですよ。アイマスって作品は、自分とアイドルの物語を作って考えて深めてなんぼのものであり、100人いれが100通りの読み方があっていいと思います。ミリオンBCはただキャラのストーリーを描くだけでなく、その100通りを作るために必要な素地をしっかりと備えています。普通に読んでも面白いですが、一歩踏み込む面白さも用意してくれているように感じました。


・えぇっ!?2巻が来月にもう発売されるんですかぁ!?(大声)




刊行スピードが早すぎる(冷静)
一巻が可奈と志保を中心に動き、明るむ前向きな可奈と、そんな彼女に苛立ちする感じる志保の関係がどうなっていくのか…というところで引きとなった一巻の続きがすぐでるのは流石に笑っちゃいますね。
表紙を見ての通り、じつはミリオンBCは可奈と志保だけでなく2巻表紙のこの二人もメインで絡んでくる話になってるっぽいです。キレイな容姿が特徴的なアイドル…いったいなにものなんだ…

と、なんか雑になり始めたのでそろそろ締めたいと思います。
タイトルの「Blooming Clover」という言葉の通り、今はまだまだ種でしかないシロツメクサがどんなふうに芽吹くのか、楽しみです。
とにかく、面白いのでおすすめです。おしまい

余談ですが、花言葉とか調べると意外な意味があったりして結構面白いですよ。書いてる人がそこまで気にしてるかは知らないですけど。