けものフレンズから学ぶ健全なチームビルディング 初級編

※アニメの感想記事です




けものフレンズ」とは
この世界のどこかにつくられた超巨大総合動物園「ジャパリパーク」。
このジャパリパークを舞台に、主人公のかばんちゃんが様々なフレンズとともに冒険をするというもの。
最近ではそれほど珍しくなくなってきた3DCGアニメーションで、雰囲気としては教育番組然としたふんわりとした空気が流れています。また、1話毎にメインとなるキャラクターが出てきて、そのキャラクターにまつわるエピソードがなかなか骨太に作られています。見る前は結構バカにしていましたが、細やかなこだわりが光るいい作品だと思います


正直最初の3分くらいはかなり見るのやめようか悩むくらいだったのですが、途中からこのアニメには見る人の気持ちを穏やかどころかポジティブになせるストーリーが丁寧に組まれていて、その一方で考える余地をしっかりと与えてくれる作品だと気づきました。ポイントは大きく二点

承認あえての情報不足

です


・とにかく褒める!承認する!やってみる!

まず最初に、主人公のカバンちゃんは一言で言うとこの作品を見ているあなたです。自分の正体もわからず、ここがどこかもわからない場所に突如放り出され、帰り道や自分の正体を探すためにジャパリパークを旅することになったカバンちゃん。
設定も状況もわからないところに放り出された我々は、カバンちゃんと一緒にジャパリパークを旅し、様々な経験をカバンちゃんを通して積み重ねていきます。
作品の味方は人それぞれですが、多くの人がカバンちゃんに作品内での自己を投影することでしょう。以上を踏まえて、この作品内でのカバンちゃんの扱いはと言うと

すごーい!!




すごいすごーい!!





承認承認アンド承認。褒めの雨あられです。

最初に出会ったサーバルちゃんとの体力の違いなど、弱点をさらけ出してもみんなそれぞれに違うから大丈夫とフォローをされ、状況解決のために行動を起こせば褒められる。
また、ちょっと大変かも…との枕詞とともにだした提案も、面白そう!やってみよう!と二つ返事で誰もが引き受けてくれます。

こんなの、気持ちよくないわけがないんだよなぁ…

また、作品内でのカバンちゃんに対する承認も決して論理性を欠いていたりご都合主義ではありません。カバンちゃんが考えて行動した結果を誰もが褒めてくれます。とういうか、この作品内でネガティブな否定を行うキャラがほとんどいない…なんだここは…楽園か…?

上司による部下の教育の最初のステップは褒めることです。なんでかというと、褒められるとみんな気持ちが良いからです。また、自分のやることはこれであっているんだという安心感が発生し、以降は同じ状況が来たときに思い切って行動ができます。すると、その人なりの成果がさらに期待できます。なので、まずは褒めるのが育成の基本です。

自分を投影したカバンちゃんがこんなに褒められるんだから、見ている方もそりゃ楽しくなってきますよ。ふとした時に(ネタで)幼児退行する昨今のオタクには、他者からの承認が足りていないことがあります。この作品は、そんな荒んだ心のオタクたちにそっと寄り添ってくれます。心がポカポカするフレンズにれます…

後輩や新卒の育成時には心にサーバルちゃんの精神で頑張りましょう。

ジャパリパークに秘められた謎

ただ、そうはいってもそれだけではぶっちゃけ幼児むけ教育番組とそんなに変わりません。っていうか、幼児向け教育番組のほうがそれには特化してるはずです。
もう一点、おおきなおともだちにこのけものフレンズがウケる要素として、作品に秘められた謎があります。
そもそもジャパリパークとはなんなのか。フレンズとはなんなのか。考えないようにすればそこで終わりの疑問ですが、この謎に触れるキーワードが作品内で時折出てきます。

まず、公式のイントロダクションにこんな文言があります。

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この世界のどこかにつくられた
超巨大総合動物園「ジャパリパーク」。
そこでは神秘の物質「サンドスター」の力で、
動物たちが次々とヒトの姿をした
「アニマルガール」へと変身――!
訪れた人々と賑やかに楽しむようになりました。

しかし、時は流れ……。

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その他にも
・ガイドをしてくれるマスコットがカバンちゃんにしか反応しない
・「フレンズ化」というキーワード
・フレンズたちには正体不明の文明の利器がパークのそこかしこにある
・カバンちゃんの正体に目星をつけたツチノコの「絶滅していなかったのか…」という発言
・「セルリアン」なる謎の敵性生物

などなど、心温まるストーリーの裏に結構怪しげな設定を感じさせる描写がちらほら出てきます。
興味を持ったことに対しては強烈な好奇心を発揮するオタクにはこういった思わせぶりなところはウケが良いと思います。実際私も見ていてこれ結構設定を自分で考えるの面白いなぁとか思いながら見ていました。

ただ与えられてわりではなく、盤外であれこれ考えたり誰かの話すネタとしての余地、あえての描写の空白が絶妙なバランスで盛り込まれています。こういう作品は見ていて楽しいので、私は好きです。


と、言った感じに、ただ単に見ている人をごまかして終わりではなく、丁寧な枠組みの中に見る人が入り込む余地も絶妙に作り込む。見てくれには結構抵抗がある人もいるかもしれませんが、制作陣のこだわりが光る良作ではないかと思います。


じゃあ、わたしOPのしーでー探しに行くから…全然見当たらないのなんで…もうiTunesでいっかな…
BDつきガイドブック、2話収録で3500円ってやすくないっすか…?