『THE IDOLM@STER THE@TER BOOST 03』について語る

おひさしぶりです。ぬこもやしです。

私、こう見えても敬虔なミリオンライブのオタクなので買ってきました。
THE IDOLM@STER THE@TER BOOST 03』(以下、TB03)です。



何じゃそりゃという方のために簡単に説明すると、これは「アイドルマスターミリオンライブ」というゲームから発売されたCDシリーズのひとつです。
少し前にTHE@TER BOOST(以下、TB)という企画が催され、ゲームに登場する39人のキャラから、3つの劇中劇に登場する計15人のキャラクターを

投票で

決めようという企画があり、それに選ばれたキャラクターに用意された新曲とボイスドラマが収録されたCDになっています。
某お隣さんの総選挙ほどではありませんが、投票の真っ最中はまあまあ血で血を洗う戦争のような気分の人も見受けられるくらい盛り上がる企画だったと思います。キングロコ…はて…?

という流れで発売されたこのCDですが、実際聞いてみるとまあまあ思うところがあったので、勢いとお酒の力でパリッといい感じに紹介しちゃいます。
ということで、以下には
バッキバキに本作品のネタバレ
が含まれます。まずは聞いてもらったほうが楽しめるかなと思うので、まだ聞いてないという方は実際に聞いてからまたきてください。
























大丈夫ですかね?はじめますよ?

・初見では…と思いきや
初見では、ラスト10分の怒涛の展開がソードマスターヤマトもびっくりな感じで、完全に宇宙ぬこもやしの顔になってました。


いやだって、聞けばわかると思いますけど、さすがに、ねぇ…

と思ってたんですが、がんばってもう一回聞いてみるとですね、これが意外なことにですね
あっ、わりとがんばってネタ振りはしてる
と気づきました。悪かったのは本編そのものではなく、尺が足りないこと。それから、この作品が音と台詞だけでミステリーを書くとか言う超絶無理難題であったことです。
その上でこれを聞くと…

あっ、これ書いた人わりと超人だわ

という感じになりました。ボイスドラマ50分って聞くと長いように思いますけど、実際の台本の文章量は結構ぺらいと思います。
その中に「各キャラの見せ場」をつくり、「ミステリーとしての要素」を過不足なく詰め込み、さらに「面白いもの」にする。やってみればわかります。まず無理です(断言)。確実に死ねます。

アイマスらしいへんなエクスキューズがない
あと、この作品の面白いところは上記のポイントです。実はこのTBの前にTAというシリーズがあり、そこでも同じような作品が3本作られたのですが、そこでは劇中劇といいつつ結局、役なんだかアイドルなんだかよくわからない、なんというか画竜点睛を欠く感じがあったのですが、この作品にはそれがまったくありません。簡単に言うと、普通にアイドルを殺します。すごい。
劇中劇とはいえ、こういうシーン入れるとやるとやっぱ嫌な気持ちになる人いるよなぁ…という配慮の元に謎のエクスキューズを入れてきたのがこれまでのアイマスだったのですが、ミリオンライブ君は頭のねじが2本くらい飛んでるので、普通に殺します。まさに英断です。そりゃ面白くもなりますよ。

・作品の構成に関して
さて、本編の話に入りましょう。
さっきも書いたとおり、このボイスドラマは何も考えずに聞くとラストのネタばらしパートが超ど級の急展開に聞こえますが、その実意外とちゃんと伏線があるような感じがあったりなかったりします(自信がないのは許して…)
特に、おそらく皆さんが一番ひっくり返ったのはやはりこれでしょう

ミルズ支配人は、コレットさんの
実の父親だったのです!!!




真犯人であったコレット(最上段の画像中央)の父親がミルズ支配人(最上段の画像左端)だった言う突然提示された設定に私は最初爆笑しました。お前それは無理やろと。
けど、改めて聞くとなんとなく仄めかそうとしてる感はあります。

たとえば、最初にプロデューサーの死体が発見された際に、ミルズが「この現場は密室だった…」といっていますが、実のところコレットが部屋の鍵束を持っていて、プロデューサーに最後に会ったのはコレットという、アリバイガバガバ感で状況証拠としては真っ黒です。そもそも密室とは、外からも中からも鍵が開けられない状態を指すので、だれかがひょいっと鍵を持ち出せるのであれば密室でも何でもありません。普通に鍵がかかってるだけです。にもかかわらずミルズが真っ先に密室と言い張るのは、周囲の意識をアリバイではなく密室というトリックに向けることで彼女を守ろうという意思があったのではないでしょうか。まあ、すぐばれてましたけど…リリィ刑事は有能ですね。

それから、コレットが劇場に現れたときに持っていたという紹介状です。
紹介状というからにはコレット以外の何者かが書いている必要があり、かつそれを読んだミルズが、身元が確かな人物だと判を押す必要があります。
つまり、コレットの紹介状を書いた人物は、それ一枚でミルズにGoサインを出させるほどに近しい人物であったと考えることが出来ます。まあ、そこからミルズと親子まで行くのはやや無理筋な気はしますが…

それから、ミルズとコレットには他のキャラにはない強烈な共通点があります。それは
劇の上映が他の何よりも優先するという判断軸
です。他のキャラクターは殺人事件が起こったという事実に一様に動揺し、さまざまな自衛行動や劇の上映に忌避的な反応を示します。この辺は桃子先輩の演技が光ってましたね。ミステリーによくあるフラグ建てまで完璧でした。
さて、これに対してミルズとコレットは劇を断固として上映する、一見すると完全にサイコパスのような態度を最後まで崩しませんでした。一つの作品の中にこれほどまでにぶっ飛んだ判断軸の人間を同時に出すなんて無茶な…と思っていましたが、親子ならまぁ、そういうこともありますかね…?
まあ、そのせいでプロデューサーが死んだのは完全に巻き込み事故ですね。ご愁傷様です。コレットに愛されていたということで手を打ちましょう。

と、言う感じです。おそらくここがこの作品最大のネタバレなのでその伏線と判断できそうなところを気づいた範囲でまとめました。他にもあるかもしれないので、ちょっとでも「お?」と思った方はがんばって聞いてみてください。

・ミルズとコレットの判断軸は本当にありえないものか
ここまでもいいだけ妄想ですが、ここからはもっと妄想です。
さっき私は、ミルズとコレットの判断軸をサイコパスと評しましたが、アイドルや役者という人間の場合、これはそこまで間違った判断軸でしょうか?という疑問がちょっとだけ浮かびました。
アイマスにおけるアイドルの多くは、歳相応の女の子の面とアイドルとしての面の二つのキャラ付けがあります。要は、どのキャラもさまざまな理由によってアイドルを演じる、ないしは彼女の思うアイドル像を目指しているわけです。
そこに、厳しい現実や困難がぶつかったときにどんな道を選ぶのか、ということを考えるのがアイドルマスターという作品の楽しみ方のひとつだと私は思っています。
さて、ここで質問ですが
あなたの担当アイドルはアイドルを演じることと、それ以外のすべて。どのくらいの配分で後者を重視するでしょうか。
今回、コレットとミルズはアイドルではありませんが、自分が演じる役という前者のために、後者の一切を軽視しました。ですが、この質問を投げかけられる時点で、その人は程度の差こそあれコレットやミルズと同列の判断軸に立つ人間である可能性があります。
さあ、あなたの担当は、どんな選択をするでしょうか…?
という、メッセージのような物を今回のTB03からは感じました。これは別に正解も不正解もありません。ただ、ここまで読んでくださった方にはちょっとだけ考えてもらいたいと思って、書きました。それだけです。

いかがだったでしょうか。少しでも興味を持ってもらえれば幸いです。

それでは、今回はこの辺で。

おしまい!