アイカツスターズ全話一気観したら、女児アニメにあるまじきバケモンに出会った

こんにちは。ぬこもやしです。
先日、東京ドームで行われた、バンダイナムコフェスティバルにかこつけて、タイトルのとおりに「アイカツスターズ!」を全話一気に見ました。



アイカツスターズ!とは、テレビ東京系列で放送されている「アイカツ!」シリーズの2作目に当たります。以前は正直バカにしていたのですが、実際見てみたら

え?これ本当に女児向けアニメ?

とひっくり返ったので、途中から泣きながら見てました。
ということで、バンナムフェスで興味を持った方も多いであろうこの時期に、さっくりと魅力やら個人的に気になったところなどをまとめていきます
一応、ネタバレをしますが、言うても女児向けアニメなので、なんとなく察してください。

ではいきます。



・1年目「四ツ星学園編」
アイカツスターズ全100話は、大きく1年目と2年目の2部構成で見ることができます。
一年目は、主人公の虹野ゆめが、アイドル学校 四ツ星学園のトップアイドル4人グループ『S4
』の一人白鳥ひめにあこがれて、新人アイドルとして四ツ星学園に入学するところから始まります。
(左から虹野ゆめ、白鳥ひめ)


基本的には、ゆめがアイドルとして成長していく描写を全50回に分けて、じっくりと描くのが一年目の大きな特徴です。その中で、ライバルの桜庭ローラとの切磋琢磨、幼馴染の七倉小春との別れ、その他の登場人物との交流など、様々なエピソードを通じて彼女の成長を見守ることになります。
さて、アイカツスターズアイカツ無印の大きな違いの一つとして「競争」に関する描写が色濃く出ている点が挙げられます。

前述の通り、四ツ星学園にはS4という、学園トップアイドルのグループがあります。四ツ星学園の中をさらに「歌」「美」「舞」「劇」の4つのカテゴリに分け、それぞれのトップが集められたグループがS4となり、その名前を背負うことを許されるわけです。
要するに、「一つしかない椅子」を明確に奪い合うシーンが存在します。これが、全編を通じてストーリーにメリハリをつけるスパイスになっており、最終盤のS4決定戦などはそれぞれのキャラクターが培ってきた成長や、心に秘めた思いなどを知った上で、勝敗がつくシーンを見ることになります。
このあたりは物語に没入していればいるほど、泣けます。私は、ゆめと同じ歌組の先輩である白銀リリィの話でアホみたいに泣きました。
1年目は、このS4決定戦が終わるところで終了します。


・2年目「ヴィーナスアーク編」
はいきました。ここです。この、ヴィーナスアークがマジでバケモンです。
後半の50話はS4となった虹野ゆめと、突如日本に現れた豪華客船型アイドル学園「ヴィーナスアーク」の話になります。
アイカツスターズ51話から追加される要素として、スタープレミアムレアドレスというものがあります。アイカツシステムに、本人のポテンシャルや身にまとっているドレスの出来栄えやコンセプトなどが一定以上の水準に達していると認められたときだけに、背中に翼が現れるという設定が追加されます。
ヴィーナスアークを率いるエルザフォルテは、このスタープレミアムレアドレスがすべて集まったときにのみ出現する「太陽のドレス」を探し求めて、世界各地の優秀なアイドルをスカウトして回っています。
(2年目序盤で登場するアイドル。左からエルザフォルテ、花園きらら、騎咲レイ)



ストーリーをざっくりとだけ言ってしまうと、虹野ゆめとエルザフォルテが雌雄を決するまでの話なのですが、このヴィーナスーアークの連中が、女児向けアニメとは思えないメンタリティでこの世界に存在していると気づいた瞬間にひっくり返りました。

ヴィーナスアークでは、パーフェクトアイドルであるエルザフォルテが絶対であり、すべての活動は彼女のレッスンや理念をなぞるところから始まります。
四ツ星学園の頃は、それぞれのアイドルの個性を大事にして、その結果としてそのアイドルの真価が花開く、というストーリーが中心だっただけに、見ているこちらも、それこそ作中のキャラクターも「それはおかしい!」と食って掛かります。
しかし、これ自体は芸事の基本理念の一つである守破離の考え方にも通じるところがあり、決して間違った考え方ではないと思います。しかし、このアニメの本来の対象年齢は小学校低学年の女児であり、これを理解できる子供がどれくらいいるのか割と真剣に心配になりました。
ですが、その結果育った花園きららなどの、ヴィーナスアークのメインアイドルはエルザフォルテの作った型を大きく飛び出し、彼女自身の個性を遺憾なく発揮しています。


・どう考えても女児アニメのキャラじゃない「騎咲レイ」

ようやくこの話ができます。アイカツスターズを見ていて一番ひっくり返ったキャラクターの話です。
先ほど紹介した騎咲レイは、ヴィーナスアークの一員であり、エルザフォルテの付き人、という立ち位置で本編に登場します。彼女は、登場以前はニューヨークでモデルの活動をしていたのですが、彼女が本来持つポテンシャルに溺れて、言われるがままの活動をしていたところで、エルザフォルテのその本質を言い当てられ、彼女のもとに行くことを決心します。
そんな彼女は、2年目の終盤で自身のブランド「ロイヤルソード」を立ち上げます。その理念は「エルザフォルテを輝かせるため」です。
この理念は、ここまで出てきたどのアイドルのメンタリティと比べても明らかに異質なものと言えます。これまでてきた多くのアイドルが、「ファンや応援してくれる人のため」という理念を第一に置いて、その結果として自分自身の目的が達成できていったのに対して、彼女の行動理念はそれが完全に逆転しています。
もう一度いいますが、これは「女児アニメ」です。これから精神的に大人になっていく子供に見せる物語としては、まず理想的な理念を見せてあげるべきところを、まさかその真逆の理念で行動するキャラクターを出すとは思わず、まじでひっくり返りました。
また、このときに彼女は「これが私の意志、情熱、夢」と述べた上で「審判を受けに来た」と続けます。要するに、彼女自身、その理念が普通であれば受け入れられないとわかった上でやっているわけです。
結果として、彼女はその発表会の中でスタープレミアムレアドレスを手に入れます。つまり、彼女の生き様や理念は、アイカツシステムに「うんうん、それもまたアイカツだね」と認められるわけです。



しかしこの話、実のところは「アイドル」に限らず、決してありえない話ではないかなとも思います。
我々が憧れている人の生き様や理念というものを考えたときに、常に我々の方を向いていたかと思うと、決してそうではないと思います。
なんだかんだ言っても「その人にとって大切なこと」を貫いた結果として、「その成果が見ず知らずの誰かのためになっている」というのは往々にしてあることではないでしょうか。
確かに、理想を言うのであれば「世のため人のため」という考えで生きることができればそれは理想的かもしれませんが、現実的に誰もがそう生きれるとは限りません。
もちろん、全編を通じて女児アニメらしい綺麗事も多く描かれる一方で、騎咲レイのような泥臭い人間らしさも、アイカツスターズの中では描かれています。
このあたりを見たときは、これ本当に女児向けアニメなの…?と部屋の中でのたうち回りました。

ちなみに、最終的には「自身のエゴ」を貫いたエルザフォルテと「常に隣りにいる誰か」を考え続け虹野ゆめ、二人の対比は見ている人間の胃をめった刺しにするようなストーリーが待っていますが、そこはまあ流石に女児アニメなので…
ですが、その過程として、明らかに子供向けとは思えないような様々なキャラクターを描ききったアイカツスターズ全100話、見てみればあっという間でした…

本当はもっと早乙女あこと花園きららの気持ち悪い話や、七倉小春がいかにアイカツスターズという作品全体のママかなどの気持ち悪い話もしたいのですが、今回はここまで。
アイカツ自体が、ただの女児アニメではないというのはおそらく知っている人も多いかもしれませんが、スターズも無印に決して負けず劣らずのクオリティを誇っています。
先日のバンナムフェスで興味を持たれた方は、是非ご覧になってもらえると嬉しいです。

おしまい!
解散!