異次元の映像体験。その名は映画「キャッツ」

不朽の名作ミュージカル「CATS」
T・S・エリオット著の詩集「キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法」を基にしたミュージカルであり、1981年にロンドン、翌年にニューヨークで初演が行われ、その後現在に至るまで世界中で愛されている作品だ。
かくいう私も、その手の話題には一定の興味があり、劇団四季の公演には足を運んだこともある。一回くらい、ブロードウェイでも見てみたいと思わなくもないが、なかなか難しいだろう。
また、そこまで詳しく知らずとも、学生時代の音楽の授業などで最も有名といっても過言ではない劇中歌「メモリー」を耳にしたことのある人も多いのではないか。

さて、時は2020年1月。日本という東洋の島国では令和という新しい年号となり、間もなく東京オリンピックが開催される。そんなこの国の歴史に残る節目の時において

とんでもない怪物映画

が公開された。
それが、映画「キャッツ」である。
まず、これからこの映画を見ようと思っている方に伝えておきたいこととして、そもそも「キャッツ」がどういう作品かを知らずに行くのは結構しんどいので、せめて概要くらいは知っておくことを強くお勧めする。これを知っているだけでも見え方はかなり違うはずだ。

それでは、以下に私の忌憚のない意見をまとめていこう。
なるべく初見で見たいという方は、ここらへんでいったんこのページを閉じることをお勧めする。









とはいうものの、実際何から話しますかね…

映像
予告でもわかる通り、もうなんというか

裸の人間に毛を生やした未知の生物

がロンドンの街の一角やキッチンで踊る。正直、我々に届く視覚的な情報はそれだけです。
ダンスとか歌自体はよかったと思いますけど、そら映画だしよくなかったらおしまいでしょって感じですよね。売るとしたらそういうとこじゃなくて、この作品ならではの部分があってこそですからねぇ…
見ながら「完全版エスパー伊藤みたいな状態のキャストさんがグリーンバックの中で踊るの超シュールだろうなー…」と思っていたんですけど、公式が公開しているメイキングによると、本編の大半で登場する場所はなんと実際に作っているらしく

力のかけどころがおかしい…

と家帰ってから頭を抱えました。

登場人物が猫と思しき未知の生物になっているのも正直マイナスで、キャッツにはたとえば「オペラ座の怪人」のようなわかりやすいストーリーはありません。ただ猫が出てきて歌って踊るだけです。しかし、だからこそ我々に伝わる明確なメッセージ(この辺は後述します)もあるんですけど…それがもうふっとんじゃうんですよね

視覚的な衝撃のせいで

しかも、これは私の勘違いかもしれないんですけど、ちょいちょい体の加工おかしくなかったですか…?
もう一回見に行って確かめる気は0なので、だれか見てきてほしいんですけど、手のあたりのテクスチャが時折なくなってたような…?そう見えただけかな…?ちょっとわかんないです…なので、だれか代わりに見てきて(他人を死地に追いやる)

ストーリー
まず、この作品のストーリーでたたくのは実はお門違いです。この作品はそういうのを押し出してるわけじゃないから。

ただ、じゃあ物語やメッセージ的な見どころがもともとないかといわれるとそうではないです。
ミュージカルのキャッツは天上に上り新しい命を得る猫を決める、というテーマの中で様々な猫が登場します。それこそ、最初の歌にもあるように悪い奴からいいやつ、まじめな奴から変な奴までいろいろです。そして、最終的にはグリザベラという年老いた元スターの猫がえらばれます。そして、そこまでその様子を見ていた我々は、選別全体を取り仕切るオールドデュトロノミーの歌によって気づかされるのです
「猫とは、不可解で不思議な生き物ではなく、我々と同じくいろんなやつがいる。その中でそれぞれに苦労がある。そして夢があり、それを叶えることももしかしたらできるのかもしれない」
こんな風に、生きることの本当の幸せや、新し命というものを自分自身にも照らし合わせたときに、登場する猫たちの歌う様々なセリフが見ている人にも届いてくる。そんな作品なんです。
だからこそ、出てくるだけで周りの猫たちに侮蔑の視線で見られるという苦悩にまみれた登場をしてきながら、最後には夜明けや救いを歌って全員に認められるグリザベラの「メモリー」と、その裏に隠された彼女の物語に感動するのです。
というのが、まあ一応私なりのミュージカルキャッツの見方なんですけど、さっき書いた通り

出てくる奴らの見た目があまりに別次元の生き物過ぎて、自己投影もへったくれもねぇ…

というのが最大の問題なんですよねこの作品…
もうおしまいだぁ…

演出
この辺も正直気になったんですよね

歌ってる最中、バストアップくらいでカメラが停止する時間が長い

いや、本当にマジで長い。
かと思えば、ラムタムダガーとかスキンブルシャンクスの歌は結構演出が凝ってて、ああこれはやりたかったんだろうなぁ、というのもわかるんですけど

モリーの演出がしょぼいのはどうなんだよ…

一番の見どころでしょそこは…
キャストの表情はよかった。けど、それを生かす手段としてワンコーラス丸まるバストアップでカメラ停止かぁ…
好みの問題なのかもしれないけど、私は正直

ここで見せ場作らんでどうすんだよ!!もうこっちはとっくに限界突破してんだどうせなら最後まで振り切らんかい!!!

って大声出しそうなシーンが結構ありましたね。最後とか

音楽

キャッツの音楽だあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!

ってテンションは上がりました
けどそこまでかな…

正直、今日はイオンシネマで見ると1100になるので普段と比べて700円も浮いたぜ!と言いながら平日の真昼間からビールは頼むし、帰りにこのブログを書くためにストロングゼロを買うしで、きっと映画館のおねいさんもコンビニのおねいさんも「この落伍者が…」と私を軽蔑したことでしょう。ただまあ、キャッツの音楽を聴いたことがあるなら新しいバージョンとして見れなくもない…かな…?

もしかしたらいるかもしれないな
人生初のキャッツですってなったそこのきみ

正気か…?

この世にはもっと面白い映画で満ち溢れているぞっていうかまずキャッツに興味を持ったならミュージカルで見てください本当にお願いします。
アマゾンビデオで200円で見られるから…キャッツって本当はとってもいいものなの…

そういえば、これを書きながらTwitter見てたら、私と同じく怖い物見たさの連中が多いのか日本での初週動員が好調らしくて、欧米のファンたちにホワイジャパニーズピーポーされそうですね…

さて、なんとなく言いたいことも出きったような感じもするので、今回はここまで。
解散!

みんな、今週末は映画館でジョジョ・ラビットを見よう!!