虹ヶ咲学園アニメーション研究会活動報告 その3


どうもこんにちは。
いつものヤツ、やっていきましょう。

今回はもう、3話で披露された挿入歌「DIVE!」の話しかしません。
よろしくお願いします。

・今週の天王寺



んびゃあぁああぁああぁぁああぁぁぁあああ~~~

いきなりうそをつきましたがこれだけ許してください。
はんぺんがあわや保健所いきというところに慌てて駆けつける天王寺
表情は変わらないけど、はっきりと「はんぺんは渡さない」と意思表示する天王寺
すきだ…

なんか、アニメ始まってからにわかに天王寺の人気が上がってると聞いて困惑しています。
こいつ冷静に考えるとこれから「顔を隠すストーリー」が描かれるの、まあまあ変わり種感ありますね…


・DIVE!の話を始める前に
今放送中の虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は「ラブライブ」と銘打ちつつも、過去のアニメにかかわったスタッフの多くがメインスタッフとして起用されていません。
これが何を意味するかは正直わからない部分も多いですが、すでにアニメ化が決まっている「ラブライブスーパースター」と、後継作としてどのような立ち位置にあるのかという違いは、ここからある程度察することができます。

しかし、虹ヶ咲に一切過去のメインスタッフがかかわっていないかというと、それはそれでそんなことはありません。
例えば、エンディングのNEO SKY, NEO MAP! では、畑亜貴先生が作詞でかかわっています。
そしてなんと、第3話挿入歌のDIVE!では、あにめ「ラブライブ!」の監督である京極尚彦先生がダンスパートの絵コンテおよび演出で参加しています。絵コンテとは、簡単に言うと3話ダンスパートをどんなものにするかざっくり決めるお仕事です。要するに、「この世で最もラブライブの書き方を分かっている人」が、この3話のダンスシーンの骨組みを作ったことになります。
これも最初の話と同じく、何を意味するかまでは我々には推測しかできませんが、少なくともとても重要なシーンだからこその起用であることはほぼ間違いがありません。

といった前置きはそこそこにして、やっていきましょう。


・MVに込められた想いを考えてみる



はい。見えますか?最初のカットですね。ということで

このカットがこのMVのすべてです!!!!
以上解散!!!!

というわけにはいかないので続けますね。いやでも後述しますけど、イントロまででもう全部入ってるんですよねこのMV。イントロだけでもう完璧ですよ。
そう高く 果てなく
明日へと導くよ
私だけの光 放ちたい
DIVE!
イントロ前の歌詞です。
3話でようやく向き合うことができたせつ菜の想いが、はるか高く遠くへ飛び立っていくかのような青空をバックにこの歌詞を歌い上げる、もうこれだけで優木せつ菜というキャラクタ―がどんなものか伝わってくる完璧なイントロです。
ただ、実はここで少し疑問が出てきます。

なんで「DIVE!」なんだ…?

だって、高く果てない場所へ行くなら「jump」ですよね?



細かいことはいったん置いておいて、ここでせつ菜の前の水面が映り



カメラがぐるぐると回りながら



シーンが水中に移ります。
もう完璧ですね。何も言わなくても「DIVE!」という歌詞とともにせつ菜が目の前の水面に飛び込んだことがわかります。ちなみに、イントロのカメラがぐるぐる回るところで、バックの色が空から水中に変わり、濁って暗くなってるのは気付きましたか?



というか、DIVE!と叫んだところで背景が変わってますね。よく見ると空だった部分が水面(を水中から見たもの)に切り替わっています。

では、なぜせつ菜はDIVE!する必要があったのか。続きに行きましょう。
自信なくしてただ 心に鍵かけて
響く自分の声に 耳ふさいでた
このDIVE!というタイトルにはいくつか込められた意味があると思っていて、一つはここの「ネガティブ」な面です。
ラブライブ出場を夢見て虹ヶ咲でスクールアイドルを始めたものの、グループとしてはうまくいかず自分の気持ちに背を向けて、もうこれ以上スクールアイドルはやらないと(勝手に一人で)決めたせつ菜の想いが、まさしくここに現れています。



こことかすごいですよね。
作品として全体を俯瞰していた我々にはなかなかピンとこないところではありますが、せつ菜の中にどれほどの葛藤や苦悩があったのか、この数秒だけでも痛いほど伝わってきます。
本当はいつだって わかっていたんだよ
一番大切なもの ここにあること
一番大切な「せつ菜」の想いがどこにあるのか。
同好会のメンバーがそれをどうやって聞き出すかと四苦八苦していたのが2話から3話までの話でしたが、結局のところそれを一番わかっているのは、当然ながらほかでもないせつ菜自身であることは間違いありません。



水の中でもがくように空へと手を伸ばすせつ菜。
そして、彼女自身も認めているわけです。大切なものはここ、つまり今この瞬間の「水の底」にある。というか、彼女自身が重しをつけて沈めてしまったのだということです。

ということで、DIVE!に込められた「ポジティブ」な側面は、DIVE!することこそが「せつ菜自身が押し込めてしまった気持ちをもう一度見つけるために必要な自問自答」だったということです。
心の奥底にしまい込んだ気持ちをもう一度取り戻すには、同じだけの深さに潜って潜って潜り続ける必要があります。どうして「jump」じゃなくて「DIVE!」なのかという疑問に対する答えの一つは、このような理由があると思います。
自分自身の中に潜ることで、奥底に仕舞い込んだ気持ちを再発見するための「DIVE!」なのです。
無限に広がる空
迷わず進もう



ここも、どんどん潜ってるのに何で空やねんといいたくなりますが、彼女がいる水底はまるで鏡のように潜っているせつ菜を映し出しています。ということは「潜っているせつ菜の後ろにある空」も同様に彼女の目の前に広がっています。
潜るという一見ネガティブな行為も、こうした演出一つで意味合いが大きく変わってきます。
目を閉じて 言い聞かせてみたっても
もう体中騒いでる止まらない
ハート点くよ熱く
ちょっとこの辺歌詞が不安なんで間違ってたらスルーしてほしいんですけど



水の底でようやく「押し込めていた自分の気持ち」に出会ったせつ菜の視点が、このあたりから上を向くようになります。
上向きの矢印エフェクトが出てきたり、最初の深く濁った水の色だけでなく「水面」と思われる、光を吸った水も画面に現れるようになっています。





そして、ついにせつ菜のハートに火が点くことでサビに突入します。



ここ良いですよねぇ~!!!
サビの最初という一番疾走感を出したいところなんですけど、せつ菜のダンスが以外と動かないのでどうするかといわれたら、カメラをぶわーっと動かして柵についたライトを置き去りにすることでめちゃくちゃスピード感が出ています。
これ、サンシャイン2期の「未来の僕らは知ってるよ」のOP映像でも出てくる技法に近いと思います。



あくあちゃんたちはかなり小さくなってますが、サイリウムがぶわーっと置き去りにされるのでぐわーっとスピードが出ている感じがします。ロングカメラ、要所で使うとすごい。

閑話休題、でもまだこの時点ではせつ菜は「水の中」にいます。背景を見ればそこはわかりますね。
そう高く果てなく
抱きしめた未来が 奇跡になる
そして、この時、ステージ上のせつ菜と同じ高さ。つまり、水中にいるせつ菜から見たらはるか高い水面よりも上にいる高咲侑という存在に出会う奇跡によって、自分自身に深く潜ったせつ菜は一気に水中から引き揚げられます。




生まれた想いが 明日へと導くよ
私だけの光放ちたい DIVE!
こうして、せつ菜の「自分自身の一番大切な思いを探すDIVE!」は終わりをつげ、彼女が本当は一番最初から持っていた気持ちが、ようやく大空のもとに再び現れることができたのです。



この笑顔ですよ。今のところ、一番光り輝いている優木せつ菜の笑顔が、こうして見られるようになったわけですね。

といったところで、なぜこの曲のタイトルが「DIVE!」なのかはもうご納得いただけた部分も多いのではないでしょうか。
せつ菜が「心の奥底」に押し込めた「自分の一番大切な気持ち」にっもう一度出会うための道は「彼女の足元よりも下」にしかなかったからです。
しかし、その道行は決してすべてが後ろ向きなものではなく、彼女が持つ本来の透明さやひたむきさにもう一度出会うことは、潜っていく彼女の背中にあるものが目の前にも映る道行きでもあるからです。
これは決して、篭るためのDIVE!ではなく「出会うためのDIVE!」だということです。

ちなみに



これがMV最後のカットなんですけど、どっかでこの構図見おぼえありませんか?



はい。一番最初と同じですね。
「せつ菜が探し求めた大切な気持ち」はそもそも「原点」であり、本当ならば最初から持っていたものである。あるいは、彼女が潜って探しに行った気持ちこそがせつ菜の「原点」だということを表しているのでしょう。

いやぁぁぁっぁああああ~~~~…

完璧な1分50秒でしたね…

そして、「DIVE!」から戻ってきたせつ菜が、潜るために貯めた力を一気に解き放ち「JUMP!」する日も、いつの日か来るのかもしれません…

といったところで今回はここまで。

解散!!!