劇場版Wake Up Girl's Beyond the Bottomを見てきたけどって話

アニメWake Up Girl'sの記念すべき新作「続劇場版後編 Beyond the Bottom」が公開されました。
感想を書きます。ガンガンネタバレしていくので、嫌な人はそういうことでよろしくお願いします。

あ、ちなみに前半は映画のあらすじなので、実際に映画をみた人は途中まで適当に読み飛ばしてください。




































・Wake Up Girl'sとは
Wake Up Girl'sとは、仙台を拠点に活動する7人の新人アイドルがアイドルの頂点を目指す中で、様々な困難と闘いながらも成長し、夢をかなえるために歩き続ける様子を描いた物語です。
これまで、アイドルユニット「Wake Up Girl's」の結成と始動を描いた『劇場版 7人のアイドル』
その後本格的に活動を開始し、アイドルの祭典という地方アイドルの頂点を決める大会にチャンレンジするも惜しくも一歩及ばず。しかし、その後東京進出の足がかりをつかむまでまでを描いたテレビシリーズ。
そして、その東京進出後を描いた「続劇場版前編 青春の影
以上の作品が公開されています。ブルーレイや各動画サイト等で購入及び視聴することが可能です。


・続劇場版後編 Beyond the Bottom
前編で東京進出を果たしたWake Up Girl'sだったが、東京でアイドルとして生きていくことのレベルの高さを実感。また、忙しい日々の中で自分たちらしさを見失った彼女たちに、東京の風はとても寒く厳しかった。鳴かず飛ばずの活動の中、一度はこの道を諦めることも良いのではないかと頭によぎったWake Up Girl'sの前に、アイドルの祭典が再度開催されれることと、新曲を渡しに天才作曲家の早坂が再び現れる。このままでは追われない。決意を新たに固めた
Wake Up Girl'sのメンバーは、一度仙台に戻り、ホームであるこの地から再びのし上がることに決めたのであった。

再び夏に開催されることが決まったアイドルの祭典。今回は去年のような地方アイドルの頂点を決めるものではなく、東京のトップアイドルも参戦する実質の頂上決戦となる。そんな厳しい戦いに勝ち抜くために彼女たちが選んだ道は、全国様々な地でプロモーションとライブを行い知名度を上げつつ実力を向上させるというものだった。そんな彼女たちのひたむきな姿勢に全国のアイドルファンも徐々に興味を示し、Wake Up Girl'sの知名度も徐々に高まっていく。

一方、ライブルであるI-1 clubのなかで、ついにセンター交代の大改革がついに決行される。旧センターであった岩崎志保は、初代センターの島田真夢同様に地方へと飛ばされる。だが、彼女はその事実に腐ること無く、その地を自身の再スタートとして位置づけ、もう一度挑戦者としてのし上がる決意を固める。

そしてついに迎えたアイドルの祭典地方予選。対戦相手の中にはかつて激戦を繰り広げた「男鹿なまはげーず」の姿も。辛くも男鹿なまはげーずに勝利し全国大会に駒を進めたWake Up Girl'sだったが、ここで新たにもう一曲新曲が必要という問題が立ち上がる。これを解決してくれたのが、事務所の社長である丹下とともにアイドルとして活動していたサファイア麗子こと佐藤勝子。Wake Up Girl'sと姿と以前の自分自身の姿を重ねた勝子は、作曲することを快諾。これでいよいよ、アイドルの祭典の決勝まで実力を磨くだけである。

そう思ったのと同じ頃、メンバーの久海奈々美はこのままWake Up Girl'sとしての活動を続けていくべきかどうか、思い悩んでいた。幼少の頃からの夢である光塚歌劇団の試験に挑戦することと、Wake Up Girl'sとして活動すること。どちらかを選ばなければならないが、どちらかを選べば確実にもう片方の夢は潰えてしまう。自分が光塚を選べばWake Up Girl's7人全員の夢も潰えてしまう。この事実を天秤にかけた奈々美だったが、メンバーの理解もあり光塚歌劇団の挑戦を選ぶことに。

こうして6人となったWake Up Girl'sだが、それでもアイドルの祭典は待ってはくれない。果たして彼女たちの挑戦の行方は…?


・結局解消されなかった圧倒的尺不足とフラグ不足
はいということで、なんかダラダラとあらすじを書いてしまいました。初見は結構泣きました。ダンスシーンは一番最初の7人のアイドルのタチアガレからここまで変わるのかと感動しました。やはりアニメ自体は待ち望んでいたものでもあったし、ああこういうことがやりたくてこのストーリーを書いたんだな。わかるわかるって感じで見てましたが、劇場で先行販売されていたBDやらもう1回映画館で見てたりしてたらだいぶ冷静になってきて色々とあれこれ見えてきました。

やはり圧倒的にまず尺が足りない。ここは結構大事なシーンなんだろうなと思うところはたくさんありました。例えば、奈々美がWUGをやめるかどうかを藍ちゃんに相談するシーン。そこで藍ちゃんがWUGらしさとはという話をします。後編のキービジュアルと一緒に書かれていた重要な言葉だと思うのですが、なぜそれが藍ちゃんから出てくるのか、正直相当考えないと出てこないやつでした。「真摯であること。正直であること。一生懸命であること」メンバーの中でも一番実力に乏しく、その一方で一番大きな視点を持ってメンバー全員を見ていた藍ちゃんだからこそ、WUGがなぜ伸びていけたのかわかることがあったのだと思います。ただ、その理由を言わずにいきなりその言葉だけ言われてもわからんて。もっとちゃんと説明してそこ絶対大事でしょ。カルロスとかほんとどうでもいいから。

それから、フラグも圧倒的に足りないように感じました。
なんか最初の頃からいってることなんですけど、物語の結末を描く上で、その準備ってめちゃ大事だと思うんですよ。「こういう理由」があって「こういう結末」がある。この「結末」を感動的なものにするのは結構できます。簡単な方法で言えば人を死なせたりすればそれだけで泣いてくれる人は結構います。最近はかなり飽きられてる手法ですけど。また、「理由」がどのくらいきちんと準備されているかで「結末」の破壊力も変わってきます。ぽっとでの「理由」で「結末」の説得力を力説されてもこれはいわゆる後付です。良くない作品は「理由」の部分が後付ばかりだったり、あるいは内容がめちゃくちゃで「理由」が「理由」になっていないことが多いです。WUGも正直最初からそんな感じです。「結末」はこういうことがしたいんだろうなーっていうのが結構わかります。ただ、「理由」の部分がどこからとも無く現れた話になっていることが多い…っていう話は以前も結構した気がします。

今回もまず、一番の肝であった新曲について。サファイア麗子とかだれも覚えてないよ!!だれだよ!!ふざけんなお前どこから出てきたんだよ!!

前編では早坂さんが書いた曲だから東京でも活動できた。これが無くなったらWUGなんて所詮は地方のロコドルよ。という問題をどう解決するのかが重要でした。その大事な部分がサファイア麗子…?え、えぇ…?そもそも社長がかつてアイドルやってた話って全然尺使ってないじゃん…そんな、白木さんとちょっと話してただけで察しろとか…かやたんの気仙沼からの手紙
の時もそうだったけど、そういう話の根幹に関わる大事なことはさぁ…ねぇ…もっとちゃんと…ねぇ…?

なので、まず尺が足りない。これに尽きます。
正直言って、個人的にはこの劇場版も本当は2時間程度の映像一本の予定だったのではないでしょうか。公式からの内容をちょっとだけ公開するコメントや、イベントの時期から考えても、後編を公開して次の日にイベントというのは相当無茶があったのではないでしょうか?想定していた尺が削られた結果、大事なシーンは残したが、その周りを固めるシーンは泣く泣く削った、と考えることも不可能ではないように思います。


・割りを食った少女、久海奈々美とその決断
尺不足の結果、一番影響が出たのはやはり彼女でしょう。そう、久海奈々美です。
TV版を見ていた方はおそらく覚えているでしょう。作中時間で第2回アイドルの祭典の1年前
気仙沼で光塚歌劇団の願書を破り捨てた彼女の姿とその言葉を。そうです。彼女はあの時
「また受ければいい」と、そう言いました。今回の後編でもまたその時期がちょうどやってきました、しかも悪いことにアイドルの祭典本戦とかぶってしまったのです。
結果から言うと、彼女は最終的にWUGを選びました。丹下社長はアイドルだけが人生じゃないと言いました(正直この言葉もお前そんなキャラじゃなかっただろって話なんですけど)。裏を返せば光塚歌劇団もそれだけが人生ではないということです。奈々美は作中でもよく、負けず嫌いであったり、ウソや決めたことを変えるのは嫌という描写が良くありました。。そうはいっても彼女は一番最初WUGに関して「これはあくまで光塚入団のための1ステップでしかない」と言っていたんですね。そんな彼女がTV版では試験を先延ばしにしました。この後編ではついにもう綺麗サッパリ諦めました。

しかし、そこに至る理由は特によくわかりません。察するしかありません。それだけ、WUGのメンバーが自分の人生に中に大きな比重を占めてきたということなのでしょうが、その理由は正直わかりません。だれか説明してください。
あと、WUGをやめますごめんねと号泣した5分後に帰ってくるのも感動半減です。勘弁して下さい。


・描いてしまった結末と、何故か無視されたその裏で起きていたこと
さらにもう一つ、最終的にアイドルの祭典ではWUGが優勝します。まぁ、優勝すること自体はいいでしょう。ただ理由が…特に…?ない…?
その話はすでにしたので置いといてですね、この「アイドルの祭典でWUGが優勝する」この事実を描くことにどんな意味があるのかという話です。まず一つ、Wake Up Girl'sというストーリーは一度ここで終着してしまったということです。Wake Up Girl'sというアニメが、アイドルの頂点を目指すストーリーである以上、そこに到達してしまったら終わりです。つまりもうこれ以上「アイドルの頂点を目指すアイドルユニットWake Up Girl's」のストーリーは二度と描かれません。連載終了につき山本寛監督の次回作にご期待ください状態です。

ただ、制作サイドがここで終わらせるつもりなのであればそれもいいでしょう。我々はそれを甘んじて受け入れて、今後の新たの名展開を待つばかりです。まぁ、その新たな展開が全く明示されずに先日のイベントが終わってしまったため、ワグナーの心は大絶賛暗礁に乗り上げているわけですが?

それからもう一点、WUGがアイドルの祭典で優勝することはつまり、「I-1が負けた」ということです。当たり前すぎてなにを言っているんだという人もいるかもしれませんが、後編の作中で新たにI-1 clubのセンターとなった鈴木萌歌は「絶対に負けられない。負けていいはずがない」都制支援をすり減らしながらもセンターの重圧に耐えている描写がありました。ちなみに彼女の描写はそれで終わりです。正直扱いとしてはモブです。

まとめるとですね、結末を描くにしても結局雑ということです。「なんやかんやあったけどとりあえずWUGがアイドルの頂点になりました!ハイおしまい!解散!閉廷!」といった、閉廷おじさんもびっくりの荒々しい店じまいを見せてくれました。


・Wake Up Girl'sはこれからもWake Up Girl'sとして展開があるのか?
ありますよーあるある。ほらこれこれ↓





…………

……







はい。
というわけで、たぶんなんかやろうっていう話はぎりぎりあるんでしょうね。
けど実際なにやるかは全然決まってないでしょうね。
だからWUGちゃんたちにもきちんと話せていないんでしょうね。
んー…

がんばれWUGちゃn…

なんか円盤買ったら特典のドラマCDついてたんで、とりあえずそれ聞きます。
おしまーい