AKB0048は夢を叫ぶ覚悟と夢を叫ぶ意味を表現した名作アニメであるという話

ということで見ました。
なんで見たのかはよくわかりませんが、とにかくAKB0048全26話を見ました。

AKB0048は、サテライト制作によるSFアニメです。アイドルアニメとしての側面もありますが、SFとしての側面も大きいです。
総監督は河森正治さん。シリーズ構成に岡田麿里さんという、これはなんでしょうねマクロスかな?アクエリオンEVOLかな?という豪華キャストで送る、納得の名作アニメでした。

この作品は2012年4月から放送された1期と、2013年1月から放送された2期のシリーズに分かれていますが、正直なところまとめて全26話のシリーズと思って頂きたいところです。
なんでか、という話をこれからしていきますのでどうぞお付き合いください。



・普通の少女がアイドルを目指すきっかけ
21世紀初頭の世界大戦により、地球が大きくダメージを負ったことにより人類が宇宙に進出した世界。その中で、銀河全体を管理する政府により芸能が禁止されたというのが0048の基本的な設定です。
まずこの設定がまぁ結構ガバっていて、銀河を取り仕切っている軍事政権が影響力の行使のために設定した法律なのかな?と見ながら考えるくらいしか情報が無かったり、その割に意外とそれに従わない人が多いように見えたり(禁止された芸能を非合法に行う0048視点の作品なので当たり前といえば当たり前か?)、政府に武器を提供している企業の社長を急に暗殺したり、細かい点は正直一回見たくらいではよくわからないところもありますが、あくまでこの辺はフレーバーということで置いておきましょう。

0048はそんな世界の中のとある星、「ランカスター」という星に生まれ育った少女たちが0048のライブを見て、その圧倒的な光に触れて、自分もああなりたいという夢を持つところから始まります。
最初は本当に等身大の小さな小さな悩みからのスタートなんです。芸能禁止の星で芸能を取り締まる立場にある父の反対を押し切って、自分の夢をかなえるためには自分の足で歩いて行く。自分の力で生きていかなければならない。そういう小さな決心。あるいは、すぐ隣りにいた人の気持ちに背を向けてでも飛び出さなければならない。そんな小さな傷を背負うのが0048というストーリーの始まりとなっています。
きっと誰もが、この小さな決心、小さな傷には共感することが出来ると思います。だからこそ、一見無茶な設定でもスルッと0048のストーリーに入ることが出来るのだと思います。


・同じ夢を持つものとの出会い
そんなこんなで、さまざまな理由や思いを抱えたまま主人公たちは0048のメンバーとなるべく、オーディション会場へと向かいます。そこで、同じ夢を志して0048を目指す仲間と出会います。

0048メンバーになるには厳しい(戦闘)訓練を乗り越えなければならない。これが出来ないようでは0048メンバーになっても命を落とすだけ!

という厳しいsレクションを乗り越えるために、隣りにいる人間はライバルでもあるが仲間でもあるということ。これに自らたどり着いた物だけが0048のメンバーになれるのです。ちなみに、このセレクション合格シーンで、アイドルのオーラに反応して光る「キララ」という生物が、合格者全員を少しだけ照らしている(ように見える)演出はちょっとぐっと来ました。

そして、研究生となった主人公たちを待っているのは、今まさに0048として活動している先輩や、それを目指す先輩。彼女たちとも絆を深める描写が多く描かれます。この、仲間との絆を深めることが、2期終盤の成長のためには必須だったわけですが、同時にこの先の展開でなかなか効いてくる設計になっているんですよね。


・自身の夢をかなえるためには

0048の正式なメンバーとなるには、歌やダンスの実力だけでなく、魂の形がオリジナルのAKBメンバーと共鳴し、「襲名キララ」という生物の宣託を得なければなりません。更にその上で、試練を乗り越えたものだけがオリジナルAKBメンバーの名前を襲名し、正式に0048のメンバーとなれるのです。
この襲名システムが1期の肝だったように思います。先輩に憧れてああなりたいと努力して近づけば近づくほど、名前を継ぐにはその先輩の夢を潰さなければならない。慕ってくれる後輩の夢を叶えさせるには、自分の夢を諦めなければならない。1期後半はこの葛藤の中で悩む0048メンバーの描写が非常に丁寧で、この先どうなるのかと非常にドキドキしました。
誰がどんな答えを出すのかは、ぜひご自身の目で確かめてください。


・何のために愛を歌うのか
芸能禁止の世界で何のために愛を歌い、会いに行くのか。
最終的には宇宙の平和を願う心のためにみたいな割と壮大なお題目をいただくわけですが、1期ラストの舞台は、主人公たちが自分の夢のために飛び出していったランカスターです。そこで、主人公の本宮凪沙は自身の夢に反対していた父親に認めてもらうために歌います。
娘がAKBメンバーになった責任を問われて収監された父を救いに行くも拒絶される中で、一度は声を失ってしまった凪沙も、最後にはステージを見に来てくれた父に思いを届けるために歌います。
要するに、思いは声に出さないとダメなんです。拒絶されるかもしれないし、届かないかもしれない。けれど、これまでの自分が培ってきた努力や、自分の背中を押してくれているファンの思いを届けられうがどうか、声を出さなければわからないんです。1期ラストでは凪沙の歌によって凪沙の父はトンネルの中から足を踏み出し、それぞれの道を歩むことを認めてくれます。
2期のラストではもう一人の主人公、園智恵理の歌によって、戦争が止まります。なにを言っているかわからないと思いますがとにかく戦争が止まります。

2期の序盤はどちらかと言うと、SF要素は少なめで、アイドルとしてどう高めていくか。なにを目指すべきなのか。といった話が中心になり、正直ちょっと綺麗すぎて引いてしまいましたが、最終的には、一番最初の等身大の女の子の悩みから、全宇宙をひっくるめた問題に展開させるために、主人公たちのレベルアップが必須でした。そのための2期序盤のコテコテのアイドル展開だったのかなと今にしてみると思えます。



・主題歌「希望について」
長々といろいろ書きましたが、実はこのアニメのテーマを数分に凝縮した歌があります。それが1期OP主題歌の「希望について」という曲です。
この曲は1期のOPの他に、1期最終話と2期最終話のライブシーン。それ以外にも様々な重要な場面でBGMアレンジが使用されています。歌詞を見ると本当にこのアニメが伝えたかったこと、制作サイドがこのアニメにのせようとしたメッセージが凝縮されているように思います。
とにかく一度聞いてみてください。









最終話で流れた瞬間、2回とも頭抱えて奇声あげました(報告)


・まとめ
今回は割と私がお酒のみながら見て感じた、ストーリーやテーマ的な側面から感想を書きました。全26話を使って、普通の少女が夢を持ち、その夢を共に高め合う仲間と出会い、ぶつかり合いせめぎあう中で、自分が追いかける夢を見つけ、そして愛を歌う。アイドルとSFの2つの側面から様々な内容を一本の筋に中に詰め込んだ名作です。
作画も良いです。さすがはマクロスFを制作したサテライトといえるような、非常に硬派な戦闘シーンは圧巻です。
AKBの名を冠したアイドルものだからと舐めてかかってるとびっくりしますと言うかしました(土下座)
食わず嫌い良くない。

最近では様々なアイドルアニメが世に生まれていますが、その一つとして名前が上がりにくいのが残念なくらいの名作です。
まあ、アイマスラブライブあたりと違って、これに関してはもう作り終わってしまいこれ以上の展開がないであろうと言うのが明白だからかもしれませんね。
あくまでAKBというコンテンツの一つの側面であり、決してこれ単体でアニメコンテンツとして独り立ちしているわけではありませんからね。
作品の名前を看板にして勝負をしているものと比べてはいけないのかもしれませんね。
ただ、アイドルアニメというジャンルに興味がある型なら一見の価値ありです。

えっ?総監督が同じで、同じくアイドルをテーマにしているマクロス⊿でいいじゃないかって?
それは、まあ…そうですけど…いやほら、多分マクロスはどっちかって言うと恋愛とかそういうテーマが多そうじゃん?だからほら、0048とは違うよ全然…たぶん…


尾張だよ~