全宇宙のオタクに「23時の春雷少女」を聞いてほしいと思った話

こんにちは。ぬこもやしです。
今更ですが4月から生活環境が変わり、世間的なあれこれのせいでまぁ~外に出る用事がなかったので、これといった感動もない日々だったのですが、久しぶりにまさに春雷のごとき感情が降ってきたので書き散らしていきます。

ということで、本日はこちらです。



6月10日発売予定、鬼頭明里さんの1st Album「STYLE」から「23時の春雷少女」です。

視聴動画のショートMVのほかに、13日から各種サブスクリーミングサイトでこの曲が先行配信されています。
とりあえず、視聴動画でもサブスクの配信でもかまわないので、まずは聞いてみてください。以下の内容には曲の内容を踏まえた話をガシガシ書いていきますので、よろしくお願いします。



聞きました?聞きましたかね?
まあ、聞いてても聞いてなくてももうどっちでもいいのでやっていきます。

さてまず、この曲に込められているテーマを個人的な感想で書くのであれば「新しいなにか」に「気づいて世界が広がる」曲だと思っています。
タイトルにある「春雷」ですが、これは冬ごもりをしていた虫をたたき起こし、春の訪れを告げる季節を表す言葉です。この単語のもともとの意味とのシンクロも考慮に入れると、それ程的外れな感想ではないのかなと思っています。

そんな感じで再生ボタンを押すと、まずちょっとどこかで聞いたことがあるようなギターの音から始まります。いや本当に最初のギターはマジでどっかで聞いたことあるんですよね…
しかし、だからこそ、これから何が始まるのかまだわからないというわくわく感があり、そこから一気に音が広がっていくイントロが印象的です。後述しますが、このちょっとの緊張感すらある最初のギターから一気に広がるこのイントロの音が、この曲のテーマ全体を貫いてるなと思います。

さて、以下にまず一番の歌詞をまだ公式の歌詞カードがないので聞いた感じでやっていきます。
町を包む風と誰か 呼ばれてても識別とかできない
私 この世界で響きあえる 通じ合える特別な声
その声が 君だった

隠して少し近づいたんだ 君の勇気を感じ取った
コマンドファンファーレ 響くはずがエラーコード

まるで春雷目を奪って走った 君がいないほうへ
それは推定23時 理由が説明できない
だけど鮮明ふと浮かんだ 記憶は甘いキスのフラッシュバック
これは幻想予期しないんだ 迷って誰か教えてよ

日付が変わる少し前 プログラム確かに書き換わったんだ
名前を付けよう 君が恋だった

何と言いますか、古典的な少女漫画のような描写が目に浮かぶようですね。
「君の勇気」を感じ取った主人公が、春雷のように色鮮やかな新しい感情に気づくも、それの正体がわからず背を向けてしまい、春の嵐の中を走って逃げていく。
そんな美しい情景が鮮やかに浮かんでくるような歌詞と、それに色を付けていくような煌びやかで、それでいてどこかに少し不安を含んでいるような音に鬼頭さんの声が乗っている。この1番だけでもハチャメチャにきれいな作品になっているんですよね。

2番では、1番のサビで逃げ出してしまった主人公が完全にパニックを起こしている歌詞になっています。
1番のラストでは「君が恋だった」といえていたにも関わらず、2番の最後では「君は夢だった」に変わっています。夜が明ければ消えてしまう、まるで泡沫のような存在になってしまっているんですね。
しかも、1番にもあるようにこの曲の時系列は推定23時。夜なんですよね。
こんな風に、歌詞での主人公は混乱してるものの音は相変わらず明るくきれいなまま。この混乱も、決して欝々としたものではなく、春(新しいポジティブな何か)の訪れであることは間違いない。実はそう確信しているわけです。

そしてからのCメロと間奏。ここがもう、えげつないですね。
聞いてもらえばわかりますが、間奏のピアノソロとシンセサイザーソロがもうぐっちゃぐちゃに高まっていくんですが、まるで主人公が大きな声を出して自分の気持ちを外に吐き出しているように聞こえませんか?聞こえない?あ、そうですか…
言語化できない自分自身の気持ちを吐き出すことで整理できることって、結構ありますよね。これは別に思春期だからとか関係なく、どんな人が何歳になってもあることなんじゃ二でしょうか。

そんな間奏を過去にポイっと放り出すような落ちサビ。もう、しびれますよね。
ここライブだったらみんな一斉に大暴れしたと思ったら一瞬で会場すべてが鬼頭さんの声を聴くモードに切り替わるわけですよ。多分ライブでは鳥肌ものですよここ。

ついにたどり着いたラストのサビですが、1番ではキスの意味合いが「フラッシュバック」だったのに対して、最後は「未来」に切り替わっています。
推定23時だった時間がもうすぐ日付が変わり、それとともに「私と君も今変わるんだよ」と、「証明は終わり これが恋だった」で結ばれるわけです。

ぽ、ポエミ~!!!!!!!!

もう、身悶えしますよこんなん。
という感じに、1番で「気づいて」、2番で一度逃げ出してしまいますが、最後にはしっかりと「自身と世界の変化」に気づくストーリーになっているわけです。

そして、アウトロ。
最初に、何が起こるかわからないギターからぶわっと音が広がるという話をしましたが、そのイントロと全く同じ音が「新しい世界に飛び込んだ主人公」のBGMとして現れます。まさか開始から15秒までに実はこの曲に込められたエッセンスがすべてねじ込まれているとは、だれもおもわないですよそりゃぁ。
正直、楽曲の構成としては当たり前の文法ではあるんですが、その当たり前の文法に一曲丸々使って仕込んだ種をすべてぶち込んでいるわけです。王道とはいえここまで、力のこもった右ストレートを顔面にねじ込まれてなお立ち続けるのは至難の業でしょう。ここで我々オタクはノックアウト。全員泥になってしまい曲が終わります。

と、言った感じです。
実は私はコード進行がどうとかといった知識はほとんどないので、歌詞と耳に飛び込んできた音の感想くらいでしか話せることはないのですが、それでもこんだけこじつけることができるこの曲の芸術的な完成度の高さ。驚きのあまり聞いてて部屋で3回くらいひっくり返りました。

もう少し待てばたぶんもっと細かい話をしてくれる楽曲に自信ニキが現れると思うので、それを探しつつおうちにこもります。

最後に、この曲がこのタイミングでの公開になったのは本当にたまたまなのでしょうが、暗い気持ちを少しでも吹っ飛ばせるように多くの人に聞いてもらいたいなと思っています(無関係者顔)。
わたしも、この曲を聴いてる時間や、このブログにまとめたことをこねくり回している時間は久しぶりに不安なことなどを忘れている時間だったので、皆さんもお家でできるメンタルデトックスは積極的に行っていきましょう。

以上!おしまい!