アナログハートと璃奈ちゃんボード

お久しぶりです。ラブライバーのぬこもやしです。

ついにきましたね。この時が。そう、今週末はいよいよ虹ヶ咲スクールアイドル同好会2ndライブです。
昨今の情勢を踏まえて、無観客による有料配信という形にではありますが楽しみなことに変わりはありません。

さて、今日は虹ヶ咲2nd開催直前ということで、先日発売された虹ヶ咲3rdアルバムから、天王寺璃奈のソロ曲「アナログハート」の話をしていきます。

結論から言うと、璃奈ちゃんのソロ曲はその全てに、まさしく彼女がストーリーの中で歩んできたことの「本質」が詰め込まれています。
正直わたしのブログを読むくらいなら今すぐ「ドキピポエ☆モーション」→「テレテレパシー」→「アナログハート」の順に聞いてほしいくらいです。

2ndライブが来ればどうしても、璃奈ちゃん役の田中ちえ美さんのステージからある程度の「答え」が提供されてしまうので、好き勝手なことを言える今のうちに好き勝手なことを言います。
やっていきましょう。





天王寺璃奈について
アナログハートの話をする前に、天王寺璃奈というキャラクターの話をしなければなりません。割と長くなるので、もうストーリー自体は知ってるよ、という方はサクッと読み飛ばして構いません。

彼女は、虹ヶ咲学園に在籍する高校一年生。中等部からの内部進学組(まるで活かされてない設定)で、常に顔の前に璃奈ボードを構えてそのボードにその時々の感情を描いて気持ちを表現するのが特徴です。



璃奈ちゃんボードがなぜ必要なのかは、彼女のキズナエピソードにて語られます。
簡単にまとめると、璃奈ちゃんは家庭環境に少しばかり問題があり、自分の気持ちを表情に出すのが苦手になってしまったことで、それまで仲の良かった友達から避けられるようになってしまいました。そんな折、同じく虹ヶ咲学園2年生の宮下愛の発案により、その時の気持ちを描いてそれを見せればいいじゃないかという案にたどり着きます。

たしかに、見た目にはかなり奇特な雰囲気ではありますが、ひとまず誰かに気持ちを伝えられるようになった、という経緯が璃奈ちゃんボードには存在しています。

その後、ひょんなことからスクールアイドルとして人前に立つことになると、この璃奈ちゃんボードを持ったままステージに立つことは出来ないという問題が浮上します。
そこで、力技ではありますが、手でもたなくても良い電子版璃奈ちゃんボードを作成し、スクールアイドルとしてはじめてのステージに立つことができるようになりました。こうして、誰かに感情を伝えることが苦手だった天王寺璃奈は今までよりももっと多くの人に、自分の気持ちを伝えられるようになったのです。

と、ここまでが前半です。本当はもうちょっと細かくいろいろあるので、ぜひゲームのストーリーを触ってみてください。

さて、璃奈ちゃんボードによって、スクールアイドルとして人前に立つことができるようになった璃奈ちゃんですが、やがて次なる問題が浮かび上がります。
ある時期から、彼女を前々から応援してくれていた人たちが、イベントに現れなくなったのです。理由を聞くと「ファンが増えたのはいいことだが、私たちはもっとゆっくり璃奈ちゃんのステージが見たいのに…」という悩みを抱えていることがわかります。(クソ斜構オタクがこの野郎…せっかく人増えてるのにクソみたいな文句言うな…)
ファンがどんな思いで自分のイベントに来ているのか、ちゃんとわかっていなかった…と、反省した璃奈ちゃんですが、しっかりとその意見に向き合い、これもサクッと対面型のオンラインライブ配信アプリを作成し、たくさんの人に自分のペースでイベントに参加してもらうと言う答えを、自ら導き出すことが出来たのです。
まぁ、そんなもん高校生がすぐ作れるものか…?というのは置いておきますが…


・アナログハート
前置きが長くなりましたが、ここまでの流れをイメージして作られた曲が今回の本題である「アナログハート」です。


この曲の歌詞に見られる大きな特徴の1つは、「璃奈ちゃんの気持ち」に強くフォーカスが当てられていたこれまでの2曲とは違い、「璃奈ちゃんの目の前にいる誰かの表情」が明確に現れたことです。これには、先ほどまでのストーリーもそうですか、璃奈ちゃんボードが持ち合わせていたデメリットとも関係があります。
璃奈ちゃんボードは、たしかに彼女の気持ちをはっきりと伝えることができるツールであることは間違いありません。しかし、その性能ゆえに、目の前にいる誰かがどんな表情をしているのか、というコミュニケーションの基本を見落としていたわけです。そこが、ストーリー後半の「ファンの気持ちがわかっていなかった」という話につながっています。
ボードを使う璃奈ちゃんの目の前には、誰かの顔ではなくボードしか見えないわけですから、当然といえば当然ですね。気持ちを伝えられる一方で、自分と相手の間に物理的な壁を作ってしまうのが、璃奈ちゃんボードの弱点でもあります。

どこでもだれにでも手を差し伸べたいよ
雨にも風にも強いんだ アナログハート

繋がるよ ミライへとアクセス
飛び出した勇気はサクセス
心と心はオンライン

間違ったっていいよ いいよ
クリアまであと一歩 もうちょっと
心パスワードを解除して

ツナガル アナログハート
タイセツナ アナログハート

Bメロからサビの歌詞なんですが、いいですよね。これ
璃奈ちゃんらしい、デジタルな要素をそのまま残っています。歌詞の視点はあくまで璃奈ちゃん本人なので、サビの最後の「心パスワードを解除して」の「パスワード」は本人ではなく、目の前の誰かの「パスワード」だと思います。

彼女自身の「アナログ」な情報としての気持ちを「デジタル」なインターネットに乗せて誰かに届ける。
配信アプリを自力で作るのは正直めちゃくちゃ感はありますが、とても彼女らしくかつ、彼女が本質的に持ち合わせているテーマに即した解決法であるといえます。

きちんと会って話して、向こうの気持ちを受け取った上で、璃奈ちゃんの得意分野である電子工学の力でもってお互いの気持ちを伝えられるようにする。ミスをしても何回でもやり直して、璃奈ちゃんと目の前の誰かの「アナログ」な気持ちがお互いに伝え合うことが、この時初めてできるようになったわけです。

事実として、アイドルとして大きくなればなるほどファン一人一人との距離は離れていきます。しかし、彼女には璃奈ちゃんボードをはじめとしたデジタルという武器があります。単純にみんなに会えばいいという短絡的な結論に走るのではなく、これまでも出てきた要素を使って、心が少し離れてしまったファンとのつながりをもう一度取り戻す後半のストーリーは、本当に彼女らしいストーリーです。
なんらかの理由で璃奈ちゃんボードとお別れするのではなく、璃奈ちゃんボード(と、それをファクターとした電子要素)を使って何ができるか、ということを常に考えていくキャラクターになりそうな気がしますね。

何が起こるか分からない道のり
だ、だ、だ大冒険
前代未聞 てんこ盛り
チャレンジしたい

いつでも胸には'ありがとう'と'ごめんね' を
愛情が原材料なんだ アナログハート

広がるよ 可能性無限に
伝えるよ 大事なメッセージ
顔と顔合わせて Say Hello

やり直せば良いんだ 良いんだ
何度でも大丈夫 大丈夫
うまくいくおまじない知ってるよ

カガヤク アナタノハート
ヨロコブヨ ワタシノハート

2番のサビまでの歌詞です。
璃奈ちゃんは、ゲームのストーリー序盤で誘われる形でスクールアイドル同好会に所属することになります。
しかし、これは気持ちを伝えられなくなっていた、璃奈ちゃんボードを持つ前の彼女には不可能なことであり、かつ、スクールアイドル同好会のメンバーの中で(多分)唯一、同好会加入前には、人前に立つことへのポジティブな動機を持ち合わせていなかったキャラクターとなっています。
璃奈ちゃんボードを手に、スクールアイドルという全く新しい世界に飛び込み、失敗や反省を繰り返しながらも一歩ずつ前に進み続ける天王寺璃奈はそういうストーリーを造形の中に持ち合わせています。
実際、彼女はスクールアイドル同好会の中で次々に新しいことにチャレンジし、人と人のつながりやチャレンジする経験を積み重ねていきます。そんな、フロンティアスピリットの持ち主なわけです。
璃奈ちゃんボードを考えてくれた愛さんも「いろんなことに挑戦したい」と言っていて、璃奈ちゃんが愛さんを尊敬して少しでも近づこうと思って、自分の世界を広げようとしているとしたら…やはり「りなあい」ですね…公式最大手カップリングはやはり最強…

実は、歌詞だけでなく音にもこの璃奈ちゃんの「世界が広がっていく様子」が伺えます。
イントロでは無機質な電子音だけだったテーマに、少しずつ音が重なっていく。曲の構成としては当たり前ではありますが、変化球なコード進行や曲の構成が当たり前となっている昨今、この教科書通りの当たり前を崩さず貫くことには、明確な意図があると思います。


みんなのスマイル にこっと
大切にしたいよ 一生の
宝物だよ 大事に保存

明日晴れたらいいな いいな
虹もかかるかな?どうかな?
またここで会おうね

ラスサビ前です。もう、わたし本当にここが大好きなんですよね。
歌詞だけでなく、音にもさっきまで書いてた話が全部詰まってると思っています。

璃奈ちゃんボードを手に入れることで、彼女は自分の気持ちを誰かに伝えることができるようになりましたが、それを伝えた相手がどんな気持ちでいるのかは、まだ見えていなかったのです。しかし、沢山の経験を積むことで「みんなのスマイル」に囲まれていることに気付き、それを「一生の宝物」だよと言って保存、つまり覚えておけるくらいにまで変化しています。
そして、そこに合わせてこの曲の音は最高潮を迎えます。まるでシャワーのように音が世界を彩りながら降ってくる情景が目に浮かぶような曲作りは、初めて聞いた時は本当にちょっと泣きそうになりました。

虹ヶ咲のソロ曲は、どれもそのキャラクターの本質や造形に深く関わりのある要素がはっきりと盛り込まれています。歌詞として直接的に書かれることもあれば、音として我々になんらかのメッセージを届けてくれていることもあります。
そして、それを歌う声優さんも、おそらく何かしらのメッセージを込めて2ndライブ披露してくれると期待しています。

正直、こんなにどハマりするとは思ってなかったんですけど、ここらへんの本編とソロ曲展開の密接なリンクっぷりは、ハマった理由の1つだとは思います。
皆さんもぜひ、スクスタでキズナエピソードを見てからソロ曲を聴いてみてください。何か気づきがあるかもしれません。

と、言ったところで今回はこの辺りで終わります。
いよいよ今週末に迫った虹ヶ咲2ndライブ、悔いの残らないように楽しみたいと思います。